#22 桜散る季節の移ろいに境目はなくて新しい季節はだんだんとひとつずつ明らかになっていくだけど、桜の季節だけはそんなふうにはできていないまだサイズの合わない制服姿で降りしきる桜の雨に打たれるがままのぼくは初めて、別れというものを知る遠くに行ったきみへ何を言えばよかったのだろう黒塗りの誘拐犯の後ろ姿を眼鏡の奥、ただ青に光る瞳に焼き付けて無力なままに立ちすくんだ桜の終わりは、季節の終わり桜の終わりは、きみとの終わり
4/17/2023, 11:32:07 AM