—焦げたクロワッサン—
私はパン屋でアルバイトをしている。
「クロワッサン焼きたてでーす!」
クロワッサンを棚に並べ、店内にいるお客さんに声をかけた。
すると、たくさんの人が集まってくる。
クロワッサンは、この店の看板商品。
このパンを求めて遠くからはるばるやってくるお客さんもいるほど、人気のパン。私もアルバイトを始めたきっかけはこのクロワッサンだった。
「あら、今日もおいしそうねぇ」
常連客のおばあちゃんがトングで三つ取っていった。うまくできていたらいいんだけど、と心の中で祈る。
最近になって、私の仕事ぶりが認められて、パンを焼き始めるようになった。
まだまだ経験不足のせいか、焦がしてしまうことがある。実はついさっきやってしまった。
「じゃあ、上がっていいよ」店長が言った。
「はい、お疲れ様でした」
あっという間に時間は過ぎてしまった。
今日焦がしてしまったクロワッサンは、売り場に出さず、裏に置いてある。それを持って帰ろう、と思ったらパンがない。
代わりにメモが置いてあった。
『おいしかったです』
『ミスしても気にしなくていいからね!』
『これからも一緒にがんばろう!』
ここで働いている人たちからのメッセージだった。メモを胸ポケットにしまって、手を握りしめた。
「よし、明日もがんばるぞ!」
お題:三日月
1/9/2026, 3:25:42 PM