ガチャというのは得てして想いが届かぬものと、強く心得ている物書きです。
だいたい爆死するのです。
だいたいすり抜けやがるのです。
届かぬ想いで、ソシャゲは回っておるのです。
と、いう嘆きは置いといて、今回のおはなしのはじまりはじまり。
前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく絶賛修行中。
最近は頑張りを認められまして、
「ここ」ではない世界の公的組織、世界線管理局の収蔵部収蔵課に、修行場所を移しております。
で、このコンコン子狐ですが、
そもそも五穀豊穣と諸願成就に縁結び、それからなにより商売繁盛の稲荷狐の子供なので、
本能的に、お金がどっさり集まる場所が大好き!
世界線管理局の、お金がイチバン集まる場所といえば、そうです、経理部です。
そういえば
前回投稿分のおはなしで
直径10cmのリンゴ状をした
純金製のオブジェが登場しました
(想定重量10kg)
「おかねのニオイがする」
くんくん、くんくんくん!
コンコン稲荷子狐が、純金の気配を察知して、
グラム単価2万オーバーのかぐわしい香りを辿って辿って、とってって、ちってって。
「おかね、おかね!しょーばいはんじょ!」
前回投稿分の舞台、世界線管理局経理部の部長室に、とうとう、たどり着きました。
「おかね!」
ドアよ、ひらけ!コンコン!
稲荷神社の神様の眷属たる稲荷狐に、部長室の扉のロックなんて、意味を為しません。
子狐が稲荷狐の名のもとに、コン!ひと声命じれば、ロックなんて簡単に外れてしまうのです。
「にゃご!にゃごにゃご。にゃーご」
世界線管理局経理部の、部長室では大きなおデブのモフモフネコが、
子狐が勝手にドアのロックを解除して、部長室に入ってくるのを待っておりました。
「プロアイルルス経理部長は、こう仰っています」
ようこそ。 経理部長の秘書たる魔法生物が、おデブネコのにゃごにゃごを通訳しました。
「『稲荷の子狐。お前の目当ては、まさしく、この純金リンゴであろう。
吾輩のおつかいを、見事成し遂げたなら、特別にコレで遊ぶことを許す』と仰っています」
純金(おかね)! コンコン子狐、もう目がキンキンのキラキラ、きんきらりんです。
子狐は稲荷子狐としての本能から、ばびゅん!
純金リンゴの真ん前に飛んでって、
でも展示ケースが邪魔しますので、
クシクシクシ、きゅっきゅっきゅ、
ケースのガラスを前脚もといお手々でタシタシ。
一生懸命、こすっています。
「あけろ!あけろ!おかね、ほしい!」
「にゃごにゃご。にゃーご」
「おかね、おかね!」
「にゃあーご。にゃごにゃご。にゃあご」
「わかった、キツネ、おつかいする!」
おかね、おかね!じゅんきん!ほしい!
コンコン子狐は、その想いを強く持って、純金リンゴの持ち主のおつかいを引き受けました。
とはいえお題は「届かぬ想い」なのです
(お題回収開始)
「にゃーご」
「子狐。この書類を、副部長に渡すのです」
「キツネ、がんばる!」
「にゃーご」
「子狐。このデータの、ロックを解除するのです」
「キツネ、がんばる!」
「にゃーご」
「子狐。この悪しきアイテムの呪いを、解除して法務部執行課に渡し、指示を貰ってくるのです」
「キツネ……がんばる……!」
「にゃーご」
「ぎゃあん!ぎゃあん!ここココンコンコン!」
ぜーぜー、ひーひー!
純金リンゴが欲しい、その強い想いで、
コンコン子狐はあっちへコンコン、そっちへコンコン、てんやわんやです。
「にゃーご」
「キツネ……つかれた……」
今日のところは、カンベンしてやる!
コンコン子狐の届かぬ想いは、しかし未練がちゃっかり残っておりますので、
ひとまずその日は退散となりましたが、
「にゃご!にゃーご!」
どうやら子狐の一生懸命な働きっぷりを、経理部長がたいそう気に入ったらしく、
後日、部長の宝物庫を、特別に見せてもらえることになったとさ。
4/16/2026, 7:46:38 AM