天音

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同じクラスに「お気に入り」がいる。

友達でも推しでも好きな人でもなく、ただどこまでも
大好きなあの子。「お気に入り」をはみ出す偏愛だ。

興味、関心、好奇心。興味、興味、興味!!!
ねぇ、この気持ちはなんだろうね?
わかんない、でも楽しい。そうだよ。あの子のことを
考えているときの私は、ちょっぴり狂ってる。
恋愛対象にするのはもったいない、唯一無二なのです。


 あれは3ヵ月前のことだった。

あの子が私に「ありがとう」って言った。慣れていない様子で。それでも私の目を見てハッキリ言ったんだ。
貸したものを返しに来ただけ。でもビックリしちゃって、それからとっても嬉しかった。

だって、話しかけるのはいつも私からだったから。
・・・興味に何かが混じった。


 それは数日前のことだった。

あの子が初めて名前で呼んでくれた。何の気なしに、
下の名前をさん付けで。苗字さえ口にしなかったから、その音と彼の低い声が信じられなかった。だけどさ、
息が止まって、危うく全部持っていかれそうになっても
勘違いで片付けるのは無理だったよ。
 
だって私はとっても耳がいい。
・・・なんだかふわふわと嬉しくなった。


恋愛対象にするのはもったいない。
今だけは、その言葉も強がりにしか聞こえなくて。

私は目を回した。


#37 胸の鼓動

9/8/2024, 3:01:57 PM