ストック1

Open App

虹のはじまりを探して、虹を失う
私の故郷にあることわざだ
意味としては、物や能力など、相手が持たないものを求めすぎた結果、相手に愛想を尽かされる、ということ
存在しない虹のはじまり……つまり根本のある場所を探しているうちに、肝心の虹が消えてしまう、という状況で例えたのだ
言いたいことはわかる
しかし、私はこのことわざが虹で例えたことが気に食わない
虹なんていうロマンティックな存在
そのはじまりを探すなんていう夢のある話を、迷惑な行動に当てはめている
きれいな虹をこんなことの例えにしたら台無しだろう
作った人間はよく考えてほしい
自分では傑作だと感じたものと思われる
しかし、センスがないと言わざるを得ない
なぜわざわざ夢のあるものに対して、嫌な現実で水を差すのか
私はこのことわざを作った者にこそ、なんらかの皮肉ったことわざが必要なのではないかと思わずにはいられない
なぜ私がここまで過剰にこのことわざをこき下ろすのか
簡単だ
私は虹が好きで、見えた虹の根本を探しに、自転車を走らせた経験があるからだ
このことわざを聞くたび、私は自分の虹に対する幻想的な感情と、あの日の夢中で自転車をこいだ思い出を否定された気分になる
ともかく、いつかこのことわざが忘れ去られ、この世から消滅する日が来ることを願うばかりだ
本当に、虹のはじまりを探して夢を追った全ての人々に謝ってほしい

7/28/2025, 1:29:38 PM