オレが望んだのは、みんなと同じになることだった。
瓜二つの見た目と、同じ声と。
何もかも一緒なのに、唯一違うもの。
それは、オレの左目。
オレの目は、”おっど・あい”と言われるものらしい。
唯一違う目が、オレには”こんぷれっくす”だった。
なんで、オレだけ違うんだろう?
なんで、みんなと同じじゃなかったんだろう?
ずっとずっと解らなくて、怖くて、嫌われたくなくて。
必死で隠して、誤魔化して、笑ってた。
今だったら、”ないものねだり”してたんだなぁって思う。
でもその時のオレは、そんなこと考えてる余裕なんてなくて。
「俺は綺麗だと思うよ? 唯一無二って感じでさ」
そんなオレに、あの人はそう言ってくれた。
「こわく、ないですか? へんじゃ、ない?」
「怖くないよ。それも含めて、君だと思ってるから」
「ふくめて?」
「俺からしたら、個性があって羨ましいけどなぁ」
ニコニコと優しい笑顔で、オレの頭を撫でてくれた。
「ずっと、頑張ってたんだね。偉い、偉い」
みんなと違うオレを、認めてくれた。
ーーーだからもう、”ないものねだり”は止めた。
みんなと違うオレを認めてくれたあの人が、褒めてくれた”オレ”でいたいって、思ったから。
ないものねだり
3/26/2023, 1:47:43 PM