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もしも未来を見れるなら


もしも未来を見れるのなら誰一人我慢する事なく公平に生活できる世界に行きたい

真夜中両親の怒鳴り声で楓は目を覚ました。これで二回目だ。「ねぇっお願いだから静かにしてよっ」
楓がそう言ってもふたりは構わず怒鳴り合っている。「ねぇっ」楓がもう一度大きな声で言うと、二人はやっと楓の方を向いた。そして「まだ居たのかさっさと寝ろと言っただろっ」と父親が怒鳴った。「そうじゃなくて寝れないから静かにしてほしいんだよ」と楓が言うと「大人の事を子供がいちいち気にするなっさっさと寝ろ!」と、父親が怒鳴った。そして母親も「全く、何時だと思ってるのっ?」と言った。その瞬間楓の怒りが爆発した。「もういやだっ、限界だよっ。毎日毎日 喧嘩ばっかり二人共不機嫌で僕に八つ当たりするし、もう我慢出来ないよっ」楓はそう言うと厚手の上着を着て家を飛び出した。そしてその夜は祖父母の家に泊まった。次の日学校から帰ってから楓がただいまと言っても学校での出来事を話しても母親は何も言わず無視するばかりだった。次の日の学校からの帰り道、楓は「はぁ〜いつもの普通のお母さんに戻ってほしいなあ。何で急にあんなに怖い人になっちゃったんだろう」小石を蹴りながらそんな事ばかり考えていた。楓の母親はこの前大の仲良しだった妹が亡くなってしまってから突然人が変わったように急に怒ったり暴力的になったりと怖い人になってしまった。この喧嘩も母親が発端の喧嘩だった。その夜、楓は自分の部屋の窓から外に向かってお願いをした。「もしも未来を見れるのなら、神様お願いです。全ての人が平和で公平に暮らせる世界にして下さい。そしてお母さんをいつもの人に戻して下さい。お願いします」とお願いした。そして顔を上げると不意に涙が頬を伝った。 今まで母親が変わってしまってからの苦しい思いを、優しい風がそっと洗い流してくれたようだった。

4/19/2024, 12:37:30 PM