陽 菜 美

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「時間よ止まれ」

いつも通りの帰り道。

ふと君の住んでるマンションを見る。

よく見ると君の部屋の近くの部屋で誰かがベランダに立っている。

特に何も考えず、その人を見つめる。

その人は縁に登ろうとしていた。

ちょっと考えてみた。

こんな高い階のベランダに立って何をする気なのだろう。

嫌な予感が頭をよぎった。

自殺

その人をもう一回、よくみてみた。

ベランダに立っていたのはやっぱり君だった。

嗚呼、間に合わない。

リュックを投げ捨て、君に何度も電話を掛けて走る。

時間よ止まれっ

お願いだから止まってよ、

遅くて鈍い足を今までにないくらい動かす。

階段を駆け上がり君の元に急ぐ。

やっとの思いで部屋に辿り着いた。

鍵は空いており、無我夢中で部屋に入った。

窓から入る風でカーテンが揺れた、

それと同時に君の後ろ姿が見えた

まって

まって

お願いだから

今にも落ちそうな君を引っ張ろうと手を伸ばした。

その瞬間、君の姿が消えた。

漫画みたいに手なんか掴めないよ、

そのまま

グチャッ

鈍い音がした。

時間なんか要らない。

時間なんて苦しいだけだ________。










9/19/2024, 1:10:13 PM