喜村

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 朝は始発から、夜は終電まで。立派な社会の歯車として働いている俺。
 そんな俺にも、オアシスがあった。
 週に一回の休みである。
こんな腐りきった社会の中、なんとかやっていけているのは、このオアシスがあるからである。

「え、また退職……?」
「そうなんだよ、もう変わりに出勤できる人もいなくてね?」
「でも、俺、休み週一なので、ここ削られると休みなくなるんですけど……」
「うん、新しい人入るまでだからさ、もう君しか頼めないんだよ」

 渇ききった砂漠の中に、唯一あった湖が、オアシスが今、干上がってしまった。
 凄まじい陽に焼かれ、俺の体から水分が飛んでいった。
 休み……俺のオアシスは、またいつか現れるだろうか。

【オアシス】

7/27/2025, 10:45:22 AM