Open App

 最高のハッピーエンドを求めて、幾度となく「今日」という日を繰り返した。

 けれども必ず、君を失う結末に行き着いてしまう。

「おはよう。どうしたの? 顔色がよくないよ」

 何十回目かももうわからなくなった、君との朝の挨拶。
 自分の運命なんて何も知らない君は、陽だまりみたいにあたたかな笑顔を、無邪気に僕に向けた。

「……大丈夫だよ、大丈夫」

 涙が出そうになるのを堪えながら、僕は君に笑顔を返す。

 今日こそは、君を救うんだと心に誓う。


 ……いや。本当は。
 僕は、この「今日」という日を永遠に繰り返していたいのかもしれない。
 この繰り返しが、永遠が、僕にとってのハッピーエンドなのだとしたら。

「ほんとに? 大丈夫ならよかったけど」

 君がまた、ふわりと笑った。



『ハッピーエンド』

3/30/2024, 12:54:57 AM