深夜三時を回っても、眠りに落ちる奴はいなかった。地獄のような練習合宿を乗り切った体はとっくに限界を超えていた。誰もがそうに違いなかった。それでもここにしがみついているのは、今この瞬間を、一秒たりとも逃したくなかったからだ。俺たちの最後の青春。こうして同じ飯を食い、同じ苦難を乗り越え、同じ立場で笑い合える。こんなことは二度とないのだ。この場にいる誰もが痛いほどに理解していた。
騒ぎ合い、笑い合い、語り合った。これまでのこと、これからのこと。俺たちには希望があり、夢があった。それぞれがそれぞれの道を歩もうとしていた。
時は等しく過ぎていき、やがて朝が来た。空気を吸いに行こう、と誰かが言った。外に出ると曙光が俺たちを染めた。全員で見上げた朝焼けの空は、俺たちの心の色だった。
あの時の東雲色は、今も心に焼き付いている。
6/21/2023, 1:06:18 PM