梵 ぼくた

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幾星霜,ただ過ぎ去る流星群だけを見つめていた。

隣を歩いたニンゲンは寿命で朽ち果て,呆然とヒトリで吹く風に身体を委ねていた。


寿命が尽きる迄は孤独だと,もう二度と,誰とも関わらないと,そう思っていたのに。


あの日,あの場所,あの時間。
誰にも認識されずに,孤独だった自分の姿を見つけ出した彼女。

彼女の紅い瞳が,ひょこりと覗く八重歯が,『 玄武 』と名を呼ぶその声が。

余りにも彼奴にそっくりで,漆黒の夜空から一筋の星が零れ落ちてしまった。

「 オレは…ここにいても…いいのか…? 」
『 勿論だ!! 』

大きく頷き,太陽のような笑みを浮かべた彼女に,どれだけ心が救われた事か。
今となっては,自分の中じゃかけがえのない存在になってしまっている。

あまり気に入りすぎてしまうと,また,寿命が2人を分かちあってしまうから。


それでも,彼女の事は,オレが護る。


そう,鳥居の下で誓ったんだ。


_後先考えず突っ走る彼女を後ろから抱きしめ,静止させるような体制へ持ち込む。

そして,彼女の耳元で小さく囁くんだ。
今までずっと,喉奥につっかえて紡げなかった言の葉を。



「 ありがとう 」

2/13/2024, 12:01:43 PM