300字小説
幸せの代役
バーチャルワールドのキャラクターにガイドマスコットというものがある。主に初心者向けの案内役だが、なかにはファンがついていて、利用予約待ちの者もいる。彼等はファンからチップやプレゼントを貰うこともあり、一部は一種のアイドルと化していた。
「あれ?」
戻ってきたガイドマスコットが花束を抱えている。研修等に使われる、おじさんキャラで、今まで何か貰ったことなどないキャラだ。
花束は利用する度に彼を指名していた女性からで『父の代わりに貰って下さい』とメッセージがついていた。
その花束からカードが落ちる。
『お父さん、ありかとう。幸せになります』
録音された声が流れる。花束を抱えた彼の顔は何故か優しく微笑んで見えた。
お題「プレゼント」
12/23/2023, 11:08:59 AM