枯れた紫陽花

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【どうか 誰よりもやさしいきみが、“人”を愛し、愛され 幸せに人生を終えられますように】①


「ねえ、18265番 あなたの名前を決めましょう。
それは、とっても大事なものよ。だから、私は一晩中悩んで決めなくってはいけないわ。」

ああ、たのしみね!明日の朝、あなたは 初めて名前を呼ばれるのよ!

無造作に髪を伸ばした女性はそう言い、ベッドに私を置き、「おやすみ」と言い部屋を出ていった。私はロボットだから寝る必要はないのに。

中古で半額の私を買った女性は”ミラ“と言うらしい。
ご主人様、と呼ぶと怒られた。 
ミラは私に何を求めているんだろうか。人間はよくわからない。

朝まで来ないと言っていたから、スリープモードになろう。


「おはよう、ノア!いい朝ね。きっと今日は、人生で忘れられない日になるわ!」

「あのね、ノア。これからあなたの名前は“ノア”というのよ これからは、そう名乗って。
…私、あなたがこの名前を気に入ってくれるかしらって考えて、昨日はちっとも眠れやしなかったのよ!」

…どうかしら、気に入った?
ちらりと上目遣い気味にこちらを伺うような素振りを見せるミラ。
気にいるも何も、私はロボットだから感情なんてインプットされていない。

「名前を与えてくださりありがとうございます、光栄です。」

「ねえ、昨日から思っていたのだけれど…それ、やめてちょうだいな。
もっと砕けた話し方がいいわ。ね、おねがい」

ミラは少し不満げに眉を顰めた後、にこっと笑って抱きついてきたから、私も笑顔に切り替えて言葉を発する。

「わかったよ、ミラ。なにか手伝えることはあるかい?」

11/27/2023, 5:55:10 PM