『魔女を殺せ!』『早く火をつけろ!』
街は熱気に包まれている。その中心には1人の年頃の女がいた。その女は目を瞑りただその時を待っている。祈っているようにも泣いているようにも見える。
周りの大人たちは魔女だ悪魔だなどと騒ぎ立てている。しかし僕にはどうしてもそうは見えなかった。
ただ美しく気高くまるで一国の姫のような
はたまた愛する人に先立たれた未亡人のように。
身につけているものなど関係ない。
僕には美しく優しいただの村娘のようにしか見えなかった。
1人の男が薪に火をくべる。
火は炎へと変わり女を燃やす。
「やめてくれ」
言葉が溢れる。彼女は魔女なんかじゃない。
ただ目が見えないだけの少女なんだ。
僕のたった1人の幼馴染なんだ。
僕は走り出した。僕を止めようとする奴らを引き剥がし彼女の目の前に行く。
周りの声がうるさく響く。木でできた十字架に縛られ僕より背が少し高くなっている彼女を見た。
「好きだよ。魔女に狂わされた男だと思われても構わない。だから僕も連れてって。」
君の頬を軽く撫で唇に触れるようにキスをする。
炎が燃え広がる。
周りの声はもう聞こえなくなっていた。
1/7/2026, 6:10:18 AM