文月

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昨日は嫌な夢を見た。

いつもの道をなんとなく歩いて、電車に乗り、大学へ行くだけの夢だけど、その道ですれ違う人全員が、私の視界から去るまで、私のことをずっと見つめていた。
人だけでなく散歩中の犬までだった。

コンビニの店員から、車掌までである。
夢を見ることがほとんどないのにも関わらず、久しぶりにとても気味の悪いものを見た。


今日は朝から気分が悪かった。
夢の通りの道を歩き、電車に乗る。
誰も見ていない。私を見ている人は1人もいない。
コンビニの店員すら商品を見て、パネルを見ているだけだ。


誰も目を見てくれない。
見てくれると言えば、スマホとテレビの中のアイドルだけだった。
君だけが目を見てくれた。



徐に画面のアイドルを見つめる。
心の中まで見透かされている。


心では気づいてはいるのだ。
誰も見てくれないのは、私が誰も見ていないからだった。
実際、私は人と目を合わせるのが昔から苦手だった。


来月は、君に会いに行ってみようと思う。
本物のアイドルの君の手を握り、目を見て、見透かされようと思う。




見つめられる夢は、
愛されたい、周りに注目されたい心の現れであった。


現代社会を生きる我々一人ひとりの、願いではないだろうか。





3/28/2024, 4:15:32 PM