あいたい。あいたいあいたい。
夏の空の下、僕は走り出した。蝉の声、草木の揺れる音、軽トラが走る細い畦道。
あいたい。君に!
僕は走る。まだ走り続ける。森に入った。草が足に絡みつく。肩にかけたカゴが揺れる。持っている棒が引っかかる。もどかしいもどかしい。カタカタ、カタカタ
は!ついに、目の前の景色がひらけた。美しい顔に大きな目。そして華奢な足に細い体。でも力強い印象を受ける大きな君。探していたのは君だ!
そして僕は、細かく羽を動かすオニヤンマ目掛けて持っていた虫取り網を振りかぶったのだった。
1/19/2024, 3:17:30 PM