のーとぶっく

Open App

ぐるぐるぐるぐるぐる
廻る部屋のなかで 僕はひとりぼっち 平衡感覚なんてとうにないから 目の前はぐるぐるして 脳みそもぐらぐら

吐きそうなほどの嫌悪感が 肺の部分までせりあがって
慌てて全部飲み込んで 喉元をすぎる胃液の味

あっという間に夜になって また気がついたら朝になった
夕日が差し込んだと思ったら 月明かりのか細い闇になる

だんだんと巡る時間の中で この狭い部屋で僕はひとりぼっち 追いつけないんじゃなくて 追いかける相手がいないだけ 見つけられもしないだけ

いつだったか 朝を信じていたのはいつだったか 昼を待ち焦がれていたのはいつだったか 夜を嘆いていたのはいつだったか

廻る部屋の片隅に追いやられた あのノートの中身はなんだっけ ペラペラめくって流れてきえて 丸っこくてよく知らない君の文字

少し硬めで 鋭くて 止めはねがしっかりしてて まるで教科書の文字みたいだって言ったら 笑ってくれた君の顔が おかしいな、思い出せないや

廻る部屋の片隅で ただ壊れてく 骨が内側からドロドロに溶けて 肉片がそこら辺に飛び散って 眼球がこぼれ落ちて
ああそしたら そしたら最後 脳みそが記憶ごと混ざってお終い

窓辺から差し込んだのが 朝日か夕日か月光か はてさてそれは誰にも分からない

とりあえず 星光だとでも思っておこうか

『狭い闇の片隅で』———【狭い部屋】

6/4/2024, 11:53:52 AM