300字小説
逆光の写真立て
「なんでこんなものを持って帰ってきたんだろう」
突然死した先輩の形見分け。皆が服等を頂くなか、俺は何故か棚の写真立てを頂いた。
夕焼けを背景に逆光で人が黒々と佇んでいる写真。俺は首を捻りながら、机の上に飾った。
「……何か聞こえる」
形見分けから数ヶ月。家に帰ると何か声のようなものが聞こえる。耳に手を当て、音の方向を探る。
机の上、あの写真からだ。よく見ると逆光の人物は……、
「先輩!!」
『ここから出してくれ!!』
俺は悲鳴を上げて、写真立てを放り投げた。
「なんでこんなものを持って帰ってきたんだろう」
ゴミ捨て場から帰って気が付くと、何故か写真立てが手にあった。首を捻りながら、私はそれをテーブルの上に飾った。
お題「逆光」
1/24/2024, 11:25:53 AM