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僕の机の上には
額に入れた銀杏の葉が一枚飾ってある

それは君と旅行に行った日
丁度紅葉が見頃を迎えていて
その景色があんまりにも綺麗だったから
離れがたくて
足元に広がる黄色い葉を一枚を拾うと
僕の傍らで君も同じように拾っていた
そしてその手の中の鮮やかな葉を
僕の着ていたコートの胸ポケットに挿すと
「綺麗」と短く言った後
あまりにも柔らかく笑ったので
僕は束の間戸惑って、気持ちを押し殺して
君と同じように拾ったそれを
君の着ていたダッフルコートのループに挿した
「綺麗だね」と僕が言うと
君は「そうだね」と軽く返して
黄色い絨毯の上を駆けていった

今僕の部屋に飾ってあるのは
あの日君が僕に挿した銀杏の葉だ
これを見る度に僕は鮮やかな安堵と苦渋を
黄色い景色の中に思い出すのだ

2/19/2023, 11:05:58 AM