私は、真夜中が好きだ。暗くて、何も見えなくなるから。何も見えなくなって、自分のことがよく分からなくなるから。
夜眠れないとき、自分の死について考えてしまうことがよくあると思う。死んだらどうなるのか、天国は本当にあるのか、とか...
私もそうで、今までは怖くて余計に眠れなくなっていたのだが、最近はこの考えるという行動自体が好きになっていた。そして、怖さがいつの間にか消えていた。
どうして好きになったのかは分からない。毎日のように無意識に考えてしまうから慣れたのか、それとも"死"という概念が現実逃避に向いていたからなのか。どちらにしろ、今の私には考える行為が生きているという証明になっているのは間違いない。だから、少なくとも"本当の私"が見つかるまでは考え続けようと思う。まぁ見つけてくれる人なんていないだろうけどね。
とりあえず、今の私が考えるべきなのは考えることができる理由だ。それが分からないと今の状況では何もできない。
そんなことを考えていると、朝日が射していることに気がついた。
朝が来てほしくないという私の思いは届かず、何も見えなかった世界が段々と明るくなっていく。
よく分からなくなっていた自分のことも、はっきりと自覚させられる。
「だから朝は嫌いなんだよな...」
実体のない、透けた体を見ながら私はそう呟いた。
お題『真夜中』
5/18/2024, 2:32:50 AM