しがみつく紫陽花

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春は、あなたの季節でした。

長く柔らかい髪を揺らして桜並木を歩くあなたを見て、腕を掴んでしまったことを覚えていますか?
攫われてしまいそうだと思ったんです。あなたが
あんまりにも美しかったから。
桜には目もくれず、団子や唐揚げを頬張る貴方の写真は、今でも私のスマホの待ち受けです。


夏も、あなたの季節でした。

太陽にも負けない笑顔で海をバックに笑うあなたを見て、眩しくって 思わず目を逸らしてしまいました。次の日、風邪をひいて夏祭りにいけなかったあなたがあんまりにもいじけるものだから、2人で手持ち花火をしましたね。
実は、線香花火はわざと落としてあげたんですよ。本気でやれば負けません。


秋だって、あなたの季節でした。

紅葉に負けないほど赤く色づくあなたの頬があんまりにも可愛らしくって、ついからかいすぎてしまい、私の頬にも紅葉が咲いたこと、一生忘れないです。
本を読もうとしてもすぐ寝てしまうあなた 趣味は合わないのに、どうしてなんでしょうね。…


冬は、やっぱりあなたの季節でした。

雪の中ではしゃぎ回って転んだあなた。私、注意しましたよね。雪国生まれの人間の言うことをちゃんと聞いてください。 まあ、でも、子供のように喜ぶあなたは愛おしかったです。
結局その後風邪をひいて、看病してあげたこと 身に刻んでください。




書き出して 消化しようとしてみましたが、やっぱりダメみたいです。懐かしさと恋しさが倍増しただけでした。

ねえ、春夏秋冬 なにをしてもあなたとの思い出が付き纏って、鬱陶しくて、恋しくて仕方がないです。
だから、どうか救ってはくれませんか。
あなたがいないと、死んでいるようなものなんです 私。

楽しそうに私の髪を結うあなたとか、寝起きでぐずるあなたとか、雷に 怖がりながらも少しテンションが高くなるあなたとか、そういうのがないと さみしいんです。
あなたの代わりだなんて、見つかる気がしません。生まれた時からずっと、あなたが特別なんです。

どうか、どんな姿形でもいいので、どうか。あなたが生きて どうか

6/11/2024, 5:09:46 PM