『今日はよく晴れたね!お洗濯日和だ〜』
君が飛びっきりの笑顔を見せて僕に言う。
その笑顔が愛おしくてたまらない。何度観ても、この笑顔だけは一生守り切りたいと思う。
こんなに可愛い顔を見せられると毎回ニヤけそうになる。でも、その感情を抑えて僕が言う。
「うん、そうだね。冬晴れだ。」
『冬晴れって言うんだ!うーーん(大きな伸び)!
気持ちいい!お布団も久しぶりに干したいなぁ〜
ねーねー〇〇君、手伝ってくれる??』
君の頼み事だ。断る方が難しいにきまってる。だから答えは一択。手伝いなんていいに決まってる。
「もちろんいいよ。君ひとりには任せられないからね。」
何を言っても反応が可愛いから、ちょっとだけ意地悪っぽく言ってみた。
『ちょっと!それどういう意味ー!?私だって怒る時は怒るんですからね!!』
ꢏ( ˋ͈ꡘ ˊ͈ )ꢖム━━━━ッ(〇〇のことを何度も叩く)
それ本気で叩いてんのかな?全然痛くないけど。
はぁ、可愛すぎる。ヤバい。そろそろ本当にヤバすぎる。可愛すぎてもっといじめたくなっちゃうくらい愛しい。
幸せすぎてこのまま僕死ぬのかなぁ?
まぁ、それでもいいかもしれない。
いや、ダメか。僕が死んだら君が悲しむ。それに、ずっとずっと、おじいちゃんになるまでこの笑顔を見守っていたい。
「あぁー、わかった わかった。ごめん。君が可愛すぎてちょっと意地悪言っただけ。さ、早く洗濯しよ?」
本当は君ひとりに任せて自分だけ何もしないのは嫌だという意味と、君ひとりに任せてもし万が一なにかおっては大変だから、という意味が、さっきの言葉には込められている。
なんか急に君の元気が無くなったから様子を伺ってみると、可愛いと言われたせいか頬が赤く染まっていた。さっきまでは僕のことを叩いていたてもいつの間にか止まって完全にフリーズしているようだった。
「おぉーい、可愛いって言われて照れてるの??」
君がこの言葉に気がついたのは数秒経ってからだった。
『……っ!』
顔を上げて、僕を見上げている。少し涙目になりながら。でも相変わらず顔は、耳まで真っ赤だった。
「君は、世界一可愛いよ。誰がなんと言おうと。この僕が保証する。」
そう言って、君を抱きしめた。
『うぅ……ありが…とう…〇〇君、は、世界一…かっこ、よく、て、世界一、優…しい…よ…』
大粒の涙を流し、微笑みながらそんなことを言う。
もう洗濯なんてしてる場合じゃないな。
僕は君の火傷で爛れた肌を優しく触り、涙を拭った。
「うん、うん。ありがとう。これからもずっと一緒にいてね。僕が君を守るから。」
『…っ!当たり、前じゃん!私には、〇〇君しかいないから…。私、も、〇〇君を絶対、死ぬまで守りきって、みせるから!』
強がってそんなことを言わなくてもいいのに。
「そっか、じゃあお互いがお互いの騎士(ナイト)だね。一生僕のそばから居なくならないでね。」
『うん!約束!』
そう言って君は右手を出してグーの形にしてから小指を立てて見せた。
そして僕の左手を掴みそれと同じ形にし、繋げた。
『指切りげんまん、嘘ついたら…私の言うことなんでも聞いてもらう!指きった!!』
「あはは、面白いね。うん、君の頼みならなんでも聞くよ。でも、僕は君のそばから離れないから、安心してね。」
『そんなことわかってるー!私も〇〇君とずっと一緒にいるもん!!』
また、さっきと同じ飛びっきりの可愛い笑顔を見せながら僕に言った。あぁ、もうダメだ。このまま死ぬかも。幸せすぎて地に足が着いていないような感覚だ。
君の笑顔を見る度毎回そんなことを思っているのだけれど。
「はぁーなんかもう、洗濯はまた今度でいいか〜」
『ダメでーす!手伝ってくれるって言ったじゃん!今日じゃなきゃなんかいけない気がするから!』
さっき程は乗り気じゃないけど、僕のもちろん答えはひとつ。いいに決まってる。
「はぁー、仕方ないなぁ。じゃあ早く終わらせて、後でテレビ見ようよ。昨日のドラマの続き。」
『さんせーい!早く終わらせちゃお!』
まただ。今日だけでどのくらい僕は死んだ感覚に陥っているのだろう。でも、本当には死んでしまった訳では無いので死ぬ直前までは君の笑顔を僕の目に焼き付けておきたい。
だからこれからも、君の笑顔に煩悩される日々は続きそうだ。
あの冬のよく晴れた日、僕と君は約束をした。一生そばにいるって、一生そばにいてって。
来年も、その次も、そのまた次の冬晴れの日も、僕が君の隣にいられますように。君が僕の隣にいてくれますように。
1/5/2023, 2:47:56 PM