「ねえ兄貴。兄貴には今年の抱負ってある?」
正月番組を観ながらみかんを剥いている兄貴にそう訊くと、兄貴はみかんを剥く手を止めおれの方を怪訝そうな顔で見た。
「……なんだ、藪から棒に」
「いや別に。気になっただけだけど」
兄貴は下の方に目線を落としてから上の方を向いた。
真剣に考えているな……と思いながら解答を待ってると、兄貴はみかんを完全に剥き、半分をおれに寄越した。
「兄弟仲良く、かな」
「……おれたち割と仲良しだと思うけど?」
「それでもだ。もっともっと仲良くなる。私の今年の抱負はそれだな」
「ふーん……なんか兄貴らしくないね」
「そう言う竜はどうなんだ? 私にこんな質問をしてくるということはお前も何かあるんだろう?」
「え? あー……」
しまった。何も考えてなかった。だけど今更そんなことは言えない。
おれは頭をフル回転させ、ハッと閃いたことを勢いのままに宣言した。
「あ、兄貴と同じ高校に入る!」
兄貴は少し驚いたのか目を僅かに見開いた。
「……飛び級するのか?」
「するわけないじゃん! 兄貴と違って頭の出来良くないんだから!
……だから、その、来年兄貴の高校受験するからさ。
勉強の仕方とか、教えてよ」
「ああ。わかった。確実にA判定になれるようビシバシいくからな。覚悟しておけよ?」
「う……お手柔らかにお願いします……」
それまで楽しそうに笑っていた兄貴が急にスッと真顔になっておれの名を呼んだ。
ただならぬ雰囲気に思わず唾を飲み込み、兄貴の言葉を待つ。
「……今年の抱負、忘れるなよ。
来年になっても、何があっても、絶対に」
何でそんなことを言うんだろう? と思いながらとりあえず大きく頷く。
そして、おれがその意味を知ったのは兄貴の誕生日にとある事実を知らされてからだった……
1/2/2026, 2:22:28 PM