恋(れん)

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       耳を澄ますと



耳を澄まさなくても、
「お前みたいなクズ、生まなきゃ良かった」
両親からの声が聞こえた。

もう慣れた言葉だった。
だけど、まだ心には刺さっていた。

1日に何十回も言われる。
その度に私の心はズキズキと痛んだ。
もう、慣れてもいいころなのに。

耳を澄まさなくても聞こえるこの声に私は、
     「…幸せになりたかった。」
と消えそうな声で呟いた。

そんな言葉を両親は聞き逃さない。

「「じゃあ出てけよ!」」

私は幸せになることも望んではいけないのか。
私は、声を出してはいけないのか。

私の目からはもう涙は出なくなっていた。

5/5/2024, 9:42:24 AM