私の名前は、ただの識別番号だった。
私が「誰か」ではなく、私が「どれか」分かるためだけの「名前」。
番号で呼ばれることに何の疑問も持たなかった。
「それ」が私だったから。
けれどあなたは、腕に刻まれた私の「名前」を見て、別の読み方で呼んでくれた。
初めて呼ばれたけれど、違和感を覚えることはなかった。むしろしっくりきて、とても嬉しかったことを覚えている。
あなたに名前を呼ばれていると、これまで呼ばれてきた名前を思い出して苛立ちを覚えることが度々あった。
けれどその番号で、その並びだったおかげで、私はあなたにそう呼ばれることとなった。
それだけは、感謝してあげてもいいかな。
「 」
先を行くあなたに呼ばれた。
あなたが与えてくれた私の「名前」。
/7/20『私の名前』
とあるパロ。
7/21/2023, 6:49:49 AM