テーマ:光と闇の狭間で
なんだか、からだが軽い気がする。
青年はむくりとつらさなんてないかのような、そんな佇まいで起き上がった。
「ここはどこだろう。ぼくは…あれ、ぼくは、だれなんだろうか…ぼくは、ぼくは_________…」
自問自答をこころみるが、記憶がさっぱり抜けさっている彼からすれば、それは不可能だった。
「どうしたら、ここを出ていけるだろうか…?」
それは、考えても考えても、不可能だとわからせるようにでてくれはしなかった。
パチャ…パチャン…
水しぶきがおきた
なんだ、どうしてこんなところに?
そんなことを考えるひまもなくなって、青年はみずしぶきがなったところに向かっていった。
「…なぜ、ここに………」
なぜか、こんなところに水があった
さらに動こうとするものの、なにかひものような、綱のようなものに繋がれていて、それがうごくのをゆるさなかった。
なんで、ぼくはこんなところにいるんだ…はやく、はやく、ここから出して!ぼくの家族の元に…
あれ?
ぼくの家族とは、誰のことだ?
そんなひとつまみの疑問を出すが、答えてくれる人なんて人は、今の彼にはいなかった。
急に光がさしかける
そこから、頭をつかまれた。
やめろ、はなせ……そんな声も出せない
「おぎゃっ…オギャアッ!!うぅぁああっおぎゃきゃっぁあっ!」
さけべるが、言葉にならない
「お母さん、元気な男の子ですよ~!」
おとこのこ?
青年ではなく、赤ん坊だったようだ。
青年とよべる年齢になるまで、またなければ…
今日も今日とて、赤ん坊は生まれる
短編·終
12/3/2022, 6:19:34 AM