Kohr

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ある古い書物の一節、職業欄にて。

男は石膏アーティストだ。1度は花を咲かせ、有名になった。だが、すぐに調子は崩れ、いまや作品は売れない。見ても貰えなくなった。
もう一度、花を咲かせたいと、このままでは終われない、そう思って蔵に閉じこもり、ひたすら作品をつくる。
親や友達は言った。諦めろとかお前に出来るはずがない。
1人で彫刻をする。ふと、作品が出来ず、久しぶりに蔵の外へと出た。朝日が出ていた。
そこで感じたのは、朝日の温もり。温かい母のように包み込んでくる。そこで感じた事を作品に注いだ。その男は、作品を作り終えるとタイトルを付けた「朝日の温もり」。女神が小さな男を抱きしめる。それを太陽が笑いながら微笑む彫刻だった。


ー オリジナル小説・ドゥコ作中の書物ノン・ドゥカ・ドゥコから ー

6/9/2023, 10:08:18 AM