星屑

Open App

見知らぬ街で売られている青年を買った。
いや、青年と言うにはまだ幼い気がするが、顔つきは少年のそれではない。
「私、これから姉の結婚式に行かないと行けないの
着いてきてくれる?」
そう言うと青年は驚いた顔をした後相槌をひとつ打った。

おめでとう。そう言うと姉はありがとう、ごめんねと言った。
謝るくらいなら人の男をとるなよとも思ったが、今となっては''愛していた''男だから別にいい。
そう言ってもきっと強がりだと思われてしまうのだろう。
姉と別れたあと、
「あの、、」
と元彼がおずおずと私に話しかけてくれる。
多少なりとも罪悪感は感じているのか?
それとも未練があると思われているのか、、、
はー、めんどくさい。
そう思っていると、会場の端できゃあと黄色い歓声が上がる。
有名人でも来ているのかとそちらを見ると。
なんとも言えないほど整った顔の青年がいた。
青年はキョロキョロと辺りを見渡したあと、こちらに向かってくる。
「探した」
青年はそう一言告げると私の手を引いた。
急な出来事にあいつはポカンとした表情をしていた。
その顔を拝めただけでもこの結婚式に参加した意味があったというものだ。

、、、ところで。
「どちら様ですか?」
私が青年にそう言うと。
青年はなに言ってんだとばかりに頭を抱えた。
「、、、お前が俺の事連れてきたんだろ」
あぁ、そうだったと手を打ってみせる。
とても人前に出せる格好をしていなかったから、
シャワールームに押し込んでお金も置いておいて
ここに来るように言ったんだった。
お金もあれば逃げることも出来ただろうに。
律儀というかなんと言うか。
まぁ、お陰で助かったわけだし
「ありがとう」
そう言うと青年は照れくさそうに笑った。

〜続く〜

8/24/2025, 12:01:32 PM