黒山 治郎

Open App

怪我をする度に脳裏に過ぎる過去の手
幼い頃の私の上で豆電球が
右へ左へと 揺れる、揺れる。

知らず知らずのうちに
胸に溜まって澱みだした空気を
どうしても吐き出す術が思い付かず
手馴れた様子で、また煙草に火をつける。

過ぎた出来事は煙で見送ってやろうと
吸っては吐いてを無言で繰り返す内
私の周りは火葬場よりも静寂が尖っていった。

過去になった、あの痛み達は離れない訳じゃない
生きる為の習慣づいた方法だから
真っ先に解決策として思い出してしまうのだ。

ー どうしても… ー

5/19/2025, 8:31:16 PM