夫婦喧嘩の始まりはいつも些細なことだ。
今日は廊下の電気が消えてなかったとかそういう理由であった。普段であれば消せばいいだけのことである。なぜかそれで怒りにスイッチが入ってしまうのは、過去の見てみぬふりをしてきた何かがかまってほしいと言っているのだ。
その何かが寂しそうにこっちを見ている。
時折見せる笑顔が痛々しい。
幼い娘がそれと同じような顔をする。
娘は以前作った立て札に手を伸ばす。
そこにはこう書いてある。
ドッキリ大成功!
潤んだ瞳で私たちは手を取り合った。
10/20/2022, 10:29:37 PM