「じゃーん。これでしょ。」
荒れ果てた部屋に降りたった勝利の天使。
ずい、と目の前に差し出された銀色の光。
全身の力が抜けこの上無く安堵した。
「…それだ。よく見つけたな。」
「あなたの行動パターンなんか簡単に読めるよ。」
ふふんと得意げに鼻を鳴らす小さい体が
今は頼もしく見える。
「はい。大切なものならちゃんと仕舞っときなよ。
もしくは肌身離さず着けておくとか。」
これはそういうものではない、そんな言い訳が頭をよぎったがやめた。
「ああそうだな。気を付けるよ。」
この指輪をこの子の前で着けるのは初めてだ。
肩の荷が下りて軽くなるとはこのことか。
「必死に探してたんでしょ?見つかって良かったね。」
「ありがとう。私にとって君も大切な存在だ。
箱に入れて仕舞っておきたいくらいに。」
「うーん。一生養ってくれるならいいよ。」
「はは、そうか。彼にも相談しておくよ。」
世の中には替えが効く。
物でも。人でも。
だが替えが効かないものもある。
それがきっと
大切なもの
4/3/2024, 6:22:56 AM