さいか

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ココロオドル。


 やった!! やってやった!!

 床に転がる鉄臭い肉塊を見下ろしながら、私はゆるゆると、口角が上がっていくのを感じていた。

 待ち望んでいた復讐が、ようやっと果たされたことへの達成感。解放感。長年積み重ねてきた分、それらが一気に押し寄せてきて、人としての禁忌を犯した罪悪感などよりも、歓喜が血管中を駆け巡った。

 柄でもないのに、赤色が滴り落ちるナイフを手にしたまま、その場でくるくると回ってみる。ダンスとは言えない幼稚な動きでも、今の私からすれば、パーティー会場で高貴な社交ダンスを踊っている気分だった。

 復讐は誰の為にもならない、なんて、どこかの漫画だかアニメだかで聞いたような気がするが、そんなもの嘘っぱちだ。だって、私は今、最高に気分が良いのだから。

 ああ、なんて、────。

10/10/2023, 4:18:36 AM