〝滅びの美学〟なんてフィクションの中か、過去の出来事をフィルターを通して見てる頭の中だけのこと。
神様、神様、神様。
桜が散る。散っていく。
広い背中が崩れて、ゆっくりと落ちていく。
間に合わない。そんな筈は無い。
誰よりも早く追い付けるのに。
取り囲む数に阻まれて、手を伸ばしても届かない。
桜が散る。散っていく。
待って。行かないで。
振り返る。
その表情に息を飲む。
それは、愛を囁く時の表情で·····。
桜が見えない。もう見えない。
その瞬間、声にならない叫びと共に、自分自身も弾けてしまったような感覚に陥る。
◆◆◆
気が付くと、辺りは死体の山だった。
「××××××」
名を呼ぶ声。
手を伸ばす。桜が舞っている。
「大丈夫か」
穏やかな顔でそんなことを言うから。
「それはこっちの台詞だよ」
笑ってそう言うしか、なかった。
END
「桜散る」
4/17/2026, 9:53:45 PM