-いと-

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僕には友達がいない。昔はいたはずなのに…。 あの日 を境に、僕の周りが 敵 になった。

あの日、僕はいつもと同じ時間に、いつもと同じ道を通って登校した。教室に入ったとき、クラスの空気がいつもとは違った。ざわついているような気がする。クラスメイトの視線が一斉に僕に向いた。状況を理解できないでいると、学級代表の1人が僕に近づいてきて耳元で囁いた。
「ねぇ、黒板に書かれていることって本当なの?」
黒板を見ると、そこには 僕の恋愛対象は男だ という暴露が。誰にも知られたくなかった。何年もずっと隠してきたことなのに…。もう誰とも顔を合わせたくない。恐怖で心がいっぱいだ。僕は必死で教室から逃げた。

どのくらい走ったのだろう。運動不足なのか疲れて呼吸が荒い。毎朝自転車で通う道を戻ってきた。もう少しすれば家に着くはず…。クラスメイト含め、知り合いはこの辺にはいないだろう。息を整えつつゆっくり歩く。
「おい、待て!!」
突然、後ろから腕を掴まれた。振り返ると幼馴染みの親友がいた。
「え…。なんで…?」
「なんでって…お前が心配で追いかけてきたんだよ。」
「はぁ…。クラスメイトはみんな僕を気持ち悪いと思っている。君と僕が話しているところを誰かに見られたら君だって嫌われる。…もう僕に触るなよ!!僕に近寄るなよ!!」
思わず叫んでしまった。僕の親友が僕のせいで周りから嫌われてほしくない。僕を追いかけなくていいのに…。
「お前…。何言ってんだよ!!お前が1人になるんだったら周りから嫌われていいよ!!恋愛対象が男だっていいじゃん!!お前がどんなに厚い壁を作っても、俺はぶち壊すから。だって、自分らしく生きているお前が好きだから。」
君は僕の頬に優しく唇をつけた。

※フィクション
【お題:距離】

p.s. 安定の低浮上

12/1/2024, 3:38:55 PM