もしあの世に天国と地獄があるのならば
この世でのボーダーラインはどのへんだろう。
「まあ地獄行きだろうな。私は。」
「だろうね。」
「別にいいさ。あるかないかもわからないあの世の話をしても仕方がない。」
「それもそうだね。僕も別にいいや。地獄でも。」
ああそういえばこの子は今私の膝を枕にして気ままに過ごしている。でかい猫のようで悪い気はしない。
「ここが天国だよ。この世の天国。」
「はは、硬くて寝づらいだろ。」
「僕、枕はかためが好きだからいい。」
膝の上の猫を少しくせのある髪越しに頭を撫でてやると
ううん、と顔をしかめた。
「嫌だったか。」
「うん。…いや、別にいい。」
「そうか。まあ嫌でもやめてやらんがね。」
「はあ。」
地獄は恐ろしい所なのだろうか。
それともこの世に比べると天国みたいなものだろうか。
所詮今を生きることしかできない私たちは
地獄のようなこの世界で天国を見つけるしかない。
天国と地獄
5/28/2024, 5:15:07 AM