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『君と』

「……なにしてんの」


「コンクリートの上で寝てる」

 幼馴染の母親から息子がいないと言われて探してみれば、彼は廃墟の中で寝ていた。

「そうじゃなくてさ。何のために?」

「現実逃避」

 現実逃避……学校のことだろうか? 成績はそこまで悪く無かったような……

「春休みの課題が終わってない。というかシャーペンすら一回も握ってない。あと大好きだった少女漫画が終わった。スO6で連敗し、スマOラで惨敗。泣きそう。死にたい。死なせてくれ」

「めんどくさいなこの変人」

 パーカーの上についている帽子と手で顔を隠し、力無くコンクリートを敷き布団にして横たわる幼馴染の清廉煌驥。

 前から知っていたが彼はたまによくわからない行動をする。今日が良い例だ。

「まだ帰らないの?」

「……もう少し」

「何時まで?」

「17時30分くらいまで」

「そっか」

 その返答を聞き、私も試しに横たわってみる。コンクリートはひんやりとしていて、まだ冬が抜けきらない春の風が私の体温を奪っていく。

「何してるんだ、小夜?」

「わからない。でも、こうしたくなった」

 そのまま少し、会話もなく二人で寝るのだった。


現在進行形で書いた本人である私がしている、楽しい現実逃避のお話。まあ、私は一人だけどね。さあっむい。

4/4/2025, 8:07:21 AM