「あなたがいつまでも記憶の中にいることがどれほど残酷なことなのか、あなたにも分かってほしいけれど、あなたにとって私の存在は私にとってのあなたの存在ほど大きくないから、会えなくなって数年経ったって平穏で健全なままでいられるのでしょう。
私の世界に比べてあなたの世界は広いから、仮に存在が同じ大きさであったとしても、きっとその数パーセントも占めさせてくれないのでしょう。
あなたの両親と親友と恋人とペットと同僚を殺したのは、そのことが気に食わないという理由です。わざわざ手紙にして伝えたのは、あなたは私の話を遮ることがあるからです。
あなたに殴られてできた傷が消えてしまうのが嫌で、私は瘡蓋を剥がし続けています。あなたに持ち去られたお金が元に戻るのが嫌で、お給料が入金される通帳を変更しました。あなたの罵倒を忘れるのが嫌で、寝る前に復唱することにしています。
私はあなたの何パーセントになったでしょうか」
電灯の音だけ聞こえる。頭の芯が痺れて、思考の全てがボヤけている。縄が手首にくい込んで痛い。何度も読み上げさせられて、喉が渇いてきた。100パーセントです、とまた叫んだけど、水はもらえなかった。
10/17/2024, 1:49:55 PM