君への愛に溢れてる俺は君のお願いはなんだって聞いてあげられる、……と言うほど俺は大人でもなく。約束の時間を過ぎても一向に訪れない君を待ちながらため息を吐く。
もう下校の人波も落ち着いて暫く経つ、人気のない玄関。下駄箱に背もたれて座っていたがだんだんと沈んでいく気持ちと共にズルズルと尻が滑っていく、寝そべっていてももう誰の邪魔にもならないだろうそう考えながらもはや仰向けに天井を見上げていた。
忙しいのは勿論分かっている。勝手に待っているのも俺の方。それでも、蔑ろにされているんじゃないかとか、迷惑なのかもしれないとか不安な発想が頭をよぎる。
何度待たされても、不安に思っても、それでも俺がここにいるのは、俺が君を好きだから……というのもほぼ正解なのだが、君を待っている俺を見つけたとき君が嬉しそうな顔をしてくれるのを見るのがとても好きだからだ。
慌てて走ってくる足音が遠くから聞こえてきた。
さて、今日も長い時間待たせたお詫びをどう取って貰おうか?背負って家まで帰ってって言ってみる?君だって案外俺のこと大好きだから、俺への愛があればなんでもできるよね?
なんて、そんな意地悪な発想をしながら目を瞑り寝たふりをするのだった。
目を開けたとき君はどんな表情をしているか楽しみだ。
【愛があればなんでもできる?】
5/16/2023, 11:09:21 AM