テーマ【ブランコ】
制作者:いと。 2.1 2023 22:55
君と一緒に遊んだ場所、
君に相談を聞いてもらった場所、
君が僕に初めて涙を見せた場所、
僕が君を初めて”ぎゅっと抱きしめた”場所。
――君が僕に最後の笑顔を見せた場所。
久しぶりに僕はあのブランコに腰掛けた。
今は16時、肌寒い時間帯だからか周りに人はいない。
もちろん、ずっと一緒だった君も。
「きぃ...きぃ...」
静かな公園にきぃ..というブランコの音だけが響く。
なんだか心にぽかんと
穴があいたような気がした。
僕は地面に寝転がり無心で空を眺める。
「っ....なにっ..これ...、」
胸が痛い、ぎゅーっっと締まっていく感覚。
「...でもっ、」
この痛みもどこか懐かしかった。
今まで誤魔化してきた感情が次々溢れてきて、
それと同時に君との思い出も次々溢れてきて、
すごく、すっごく苦しい。
けど何より、今僕の頬を伝っている涙が、
次々と溢れ出てくる涙が、たまらなく愛おしかった。
言葉では上手く表せないけど、
僕が僕を素直に受け入れてくれている感じ。
「...あったかい、」
今は真冬の夕方。暖かいはずがない。
でも僕が暖かく感じた理由。
ちゃんとあるんだ。それはね、
「君は僕が弱みを見せた時
”ぎゅっと抱き締めてくれたから。”」
紫、桃、橙色でグラデーションされた空と
きっと今”抱きしめてくれている”君が
2人でブランコをこいだ思い出と
夕日に染まった公園を再度、僕達色に色付けた。
2/1/2023, 1:55:16 PM