ばに

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それはわたしの曖昧な顔。右端に映り込む、こんぺいとうのようなシーリングライト。夜を切り取った窓。電球色のワンルーム。膝を立てて座ると、すこし軋む木製のスツール。手元で傾くマグカップ。ひとくち残して冷めた台湾茶。ため息。曇るガラス。憂うつ。瞼の裏の夢。わずかな浮遊感。刻む秒針。外で猫の鳴き声。酔っぱらいの陽気な唄。クラクション。目を開ければ今。頭をかすめた、シンクに残る夕飯の皿。倦怠。躊躇いつつ重ねるカップの中、飲み残しにちいさな波。目を逸らして潜り込むベッド。背中から抜けるように遠ざかる重力。控えめに輝く星を頭上に残し、さようならば、また明日。



「星明かり」

4/20/2025, 2:32:55 PM