月影若葉

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窓から月の光が入ってくる
ある日、兄弟は噂話をしていた
「ねぇ、どこかにあるっていう暗い森の話知ってる?」
『知らない。どんな話?』
「その森には怪物が住んでるらしいよ」
『怪物って、どんな見た目の?』
「どんな姿かは分からないけど、出会ったら大変な目に遭うらしいよ」
『ちょっと怖いね』
「今日みたいに月がよく見える日にその怪物は活動してるとか…」
『それって、他の時には活動してないの?』
「他の日は違う見た目で森の中を彷徨ってるらしいよ」
『怪物と出会う日が来ないといいね』
「そうだね。…あ、そろそろ寝ないと」
『おやすみ、兄さん』
「おやすみ、✕✕✕。」

???は森の中を彷徨っていた
「オ夜ㇲ已ゐ、✕✕✕。」
ソレが発した音は、突如よみがえった記憶の一部にあった言葉と、誰かの名前
かすれたような、何かの鳴き声のような…
そんな音を口にした
だが、誰かの名前は、はっきりと声として発せられていた
森には月の光が差し込んでいた
???は空を見上げ、前を見ると再び森を彷徨い始めた
森には静寂が広がっている

10/5/2025, 3:21:24 PM