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七夕

「彦星に会いたい。…彦星に、逢いたい」
天の川の東と西に別れて暮らすように言い渡されてから何日がたったのだろうか。
何もする気になれない。ご飯も要らない。ただ頭の中に浮かぶのは彦星の笑顔だけで、ついこの前までずっと一緒にいてくれたのに、隣にあったはずの温もりが無くなってしまったことを痛感して心が締め付けられる日々だった。
起きている間はとにかく彦星のことを考えてしまう。
東側にはかわいい女の子たちがいるだろう。彦星はきっと私の事なんてすぐに忘れてしまう。その子達の中から生涯の伴侶をみつけるのだろう。
“織姫のことは忘れてしまおう”
“織姫とのことは無かったことにしてしまおう”
何れそうなるに違いない。私と過ごした時間は、あの幸せだった時間は一体なんだったんだろう。
優しい眼差しを私以外に向けているのだろうか。
きっと彦星は素敵な方だから、好意を寄せる人は数多いる。目の前に広がる天の川を何時だか2人で眺めた時はきらきらと輝いていたのに、今は恨めしかった。

「7月7日の日にだけなら会っても良い」
そう言ってくださったから頑張って綺麗なはたを織った
彦星のいる東側にも届くように、とびきり綺麗なはたを織り続けた。それなのに、
「川が増水して渡れない!?何故!?」
年に1回しか会えないのに、何故か7月7日は毎回雨だった。目の前の天の川は今にも溢れそうな水位で、これでは渡れない。

きっとこれが運命なんだよ、彦星よりいい人は沢山いる
そう受け入れるよう周りは私のことを説得したけれど、
日々が楽しくなることは無かった。
今日もはたを織り続ける
いつか、何時かきっとまた彦星に逢えることを願って







吹奏楽の曲に「Tanabata」というものがあります
コンクールの課題曲でした
曲中の中の織姫と彦星はきっと年に1回逢えることをとっても幸せにしていて「その日があるから頑張れる」と遠距離恋愛を前向きに捉えられているんだなと演奏してて思いました
遠距離でも、たとえ年に1回しか会えなくても互いに巡り会えたことが幸せなんだと、きっとそんな作品だから明るい音が並ぶんだなと思いました。
現実の遠距離恋愛はそんなに上手く行かないことの方が多くて、どうしても近距離に勝るものは無くて
世の中の遠距離恋愛をされている方々が幸せな未来を歩めますように。
あわよくばもう辛い想いをしませんように( ¨̮ )

7/7/2023, 1:46:42 PM