流れ星に願いを(オリジナル)
流れ星に、願いを叶える力なんてないと思う。
そもそも、流れ星なんて数秒で消えてしまうのに、その刹那に何を願えると言うのか。
そして何より、僕は神の存在を信じていない。
神が本当に存在するのなら、僕はこんな風になっていない。
僕は夜の山道を、トボトボと下っていた。
小学校から家までの帰り道である。
今日は塾がある日だったが、行けなかった。
学校で焼却炉に落とされて気を失っていたからだ。
僕が気絶した事で怖くなったのか、焼却炉の蓋が開きっぱなしだったので、ゴミの山を詰み、なんとか外に出る事ができた。
辺りは真っ暗だった。
両親は共働きで、家には遅くに帰ってくるが、もしかしたらこの時間、母親が家にいるかもしれない。
僕は心配になり、臭くなった衣服を誤魔化すために水道で全身を濡らした。
この方がまだ、ふざけて遊んだと言い訳できる。
僕はいじめられていた。
それも、正義感からいじめっ子を庇った事により、標的にされてしまった。
僕は全然悪くない。
なのに、いじめっ子は罰せられるどころかいじめをエスカレートさせ、先生もクラスメイトも知らぬふり。
天罰が下る様子もなかった。
お天道様はいつも見ているのではなかったのか?
バチが当たるとは何だったのか?
神様が何もしてくれないのなら、神様なんていないのも同じ。
正しいものが報われず、正しくないものが罰せられない世界なんて間違っている。
僕の髪からポタポタと水滴がしたたり落ち、僕の目からも涙がこぼれ落ちた。
「クソッ」
こんな事で泣くのも悔しくて、僕は顔の水滴を袖で拭って、空を見上げた。
と、そこに流れ星。
とっさに願ったのは、
こんな間違った世界、滅びますように。
だった。
こんなに短い時間でも案外願えるものだな、と、考えを改めるとともに、神を信じていなくても、やっぱり何かに願おうと思うものなんだなと、ぼんやりと思った。
4/25/2026, 3:22:45 PM