#119 光と闇の狭間で
狭間とは、物と物のあいだにある、狭く開いた隙間のことである。
であれば、AとBの狭間とは、
AでもなくBでもないし、
また、AでもありBでもあると言える。
加えてAとBは隣り合っていながら、
その存在は対極にあることが多い。
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この国に伝わる神話によると人間は、
天使と悪魔の間に生まれ、光と闇の狭間で生きる存在とされている。
その為、人間の心は常に正義と悪の間で揺れ動き、争乱が絶えないのだという。
魔の山と呼ばれる、人々が近寄らない山の麓に広がる森、その浅いところで細々と暮らす木こりの男がいる。木こりの男は、若い時分は材木の流通から加工まで幅広く扱う商会で働いていたが、その忙しさやギスギスした人間関係に疲れ辞めた。そして流れ流れて、この森に住み始めたのである。
通常は豊富な資源である森で木こりをやるなら領主の許可が必要なのだが、この森に限っては誰も所有権を主張しないため、男は合法と違法の狭間、つまり法の抜け穴を利用してモグリの木こりをやっているのである。
もちろん正規の木こりからは良い顔をされないし、通常のルートでも売りづらいが。
一日の仕事を終え、男は森を出てきた。
地上を明るく照らしていた太陽が沈み始め、
辺りは赤く染められている。
太陽の方を向けば、光を強く感じるが、
背は、闇に包まれ始めている。
光と闇の狭間で、
男は思いに耽るように一人、ただ立っていた。
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光と闇の狭間で、っていうと如何にも厨二っぽい言葉ですが、色々当てはめて考えてみると、これが結構楽しかったり。文章力が足りず、たくさんボツにしました。
あとは、
おかみさんに締め出されて、玄関の前でしょんぼりしてるおじさんの話も面白そうだったなと思いました。灯りの漏れる窓、かすかに照らされる庭。外の暗闇。そして薄闇に立つ哀愁漂うおじさん。
12/3/2023, 7:54:50 AM