7月に入ると、
夏がどっと押し寄せる。
私はそれでも挫けずに、
押し返されないように力強く立った。
私は押し返されないように、
力強く立ち続けた。
私は、それが夏らしいと思って、
好きでもあった。
しかし世界は私だけで回っているのではない。
押し返される人はたくさんいる。
いや、たくさんいなかったのかもしれないが、
私の周りに限っては、ばたばたと倒れた。
倒れた人々を足元に感じる。
ふと視線を下にやると、
私までバランスが崩れてしまったようで、
倒れた。
前を見ると、
この押し寄せる夏にも負けず、
すたすたと歩いていくあなたが見える。
行かないで、とは思えど、
それでは私も倒れた人と同じではないかと思う。
もう倒れたのか。
あなたの残り香は、
きっと夏の匂いと同じ。
『夏の匂い』
7/1/2025, 1:37:46 PM