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「ねえ、俺のこと、好きでしょ」
「好きじゃないです」

間髪入れずに否定して視線が右を向く。
それが決まって嘘を吐いている時の癖だと知るまでは信じられなかったが。

「俺は好きだよ」
「そうですか」

知ってしまうと今までの素直になれない屁理屈ばかりの言葉も、色白い首筋を赤く染めるほど、愛に溢れている。
《正直》に言えば同じく愛を口にして欲しい所だけれど。
愛をささやいて、こんなにも近くにいることを許されて。
愛以外に何があるというのだろう。

6/2/2024, 3:28:38 PM