青い鳥

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『脳裏』
あぁ、なんでだろう。同じ部屋に居るというのに、見せるのは背中だけ。必要最低限の会話さえ、最後にしたのはいつかも思い出せない。
今日と言う日がまた終わる。
夢の中で出会ったのは、何年も前のあの頃。五分で読み飛ばせそうな冊子薄いを、熱心に読んでいた。あそこに行きたい。これが見たい。あれが食べたい。どうせ行かないんだろなんて思う僕をよそに、子どものような眼差しで見つめる君。無邪気な顔で微笑む君。
あぁ、この時間が続いていたら―――
不愉快なアラームの音で目を覚ます。
毎日が鏡に写ったように同じに感じる。あの、何の変哲もない日々が続いていたら...
脳裏に浮かんだのは、かけがえのない小さな小さな幸せだった。

11/9/2023, 12:51:22 PM