2.誰にも言えない秘密
遠距離恋愛の世間一般のイメージは難しい、自然消滅すると言ったものだろうが、遠距離片思いだとどうだろう。叶わない恋、執着しすぎなんて思われるかもしれない。俺の好きな人もとても遠くに住んでおり、会う機会というのは部活の合宿くらいだった。それでも好きになったものは仕方ないだろうと言ってはみるものの、半分諦めている。
そして今日、あいつを好きだと自覚して初めての合宿が始まる。俺たちの学校はあいつのいる学校と交流があるので、長期合宿初参加のアイツらの世話役を俺たちが買って出た。俺もあいつも互いに主将という立場なのでかかわる機会が多いと思われる。あいつと話せることに喜びが半分、どう接していいか、変な態度にならないかという不安がもう半分。そして待ちに待ったあの御方との御対面、元来ポーカーフェイスが得意なので上面に食えない笑みを1枚貼っつけて何とかやり過ごす。とても好印象は与えられない感じだが、変にキョドってしまうよりはいいだろう。
そんな感じで始まった合宿だが、練習の時間になってしまえばそこまできにならない。休憩中などは無意識に視線が向いてしまったりもするが、俺は部活動もあいつに負けず劣らず好きなのだ。だから練習中はどうにかなった。ただ合宿ということは一日中一緒にいるということであり、練習中には伺えないようなところも知ることが出来る。これについては今までの合宿で既に知っていることが多いので何とかなっているが、2人きりで話す機会が多いというのが問題だ。こればかりは慣れの問題では無いし、どうってことない話の中で感情がコロコロ変わってしまったりして大変だ。仲を深められるのは良いのだが、時偶相手に好かれてないと言うことがチラついてきたりして気分が沈んでしまったりもした。
ただ、相手はとても遠くに住んでいるのだ。この機会にどれだけ意識させられるかが重要になってくるだろうから、しっかり気張っていこうと綺麗に並べられた布団の上で1人心に決めた。
6/5/2024, 10:55:23 AM