野ばら

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「本当はさ、いちご飴って好きじゃないんだよね」
今まさにいちご飴を舐めながら浅葱が言う。は?今それ言う?だって今浅葱が口にしているのは毎日私が甘いもの好きな浅葱に良かれと思って毎日渡していたいちご飴の最後の一粒だ。
「好きじゃないのに何で教えてくれなかったの…」
ショックのあまり思わず声が弱々しくなってしまう。ちょっと泣きそう。
「だってさ、僕のためにあんなに嬉しそうに飴くれるのに、好きじゃないからいらないなんて言ったら悲しいデショ。でも次の飴は一緒に選びたいな」
もちろん明日からもくれるよね?なんて笑う浅葱の顔を見ると、出そうだった涙もどこかへ行ってしまって。
「うん!」
と、放課後の寄り道についてワクワクし始めてしまう私は現金かもしれない。

[3/25 好きじゃないのに]

3/25/2024, 1:35:07 PM